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2022年01月14日
PRノウハウ

経営に貢献できる広報、できない広報の違い – 事業への貢献を可視化する効果測定とレポーティング手法

市場の変化により「広報・PRの経営への貢献の可視化」が求められている

「事業への広報・PRの貢献を可視化せよ。」

経営層や上層部からこのような要望を受けるケースが増えていませんか?

ビルコムではPRエージェンシーとして約20年にわたり企業のPR活動を支援してきましたが、最近企業様から同様の声を聞くことが増えてきました。そして、「メディアへの自社関連の記事掲載件数」、「掲載した記事の広告換算費」といった従来の指標のレポートでは、経営層や上層部からの要望を満たせなくなってきていることを痛感しています。

経営側からこのような要望が増えている背景として、市場の変化による影響があります。

DXが進み、様々な事柄がデジタルで可視化できる時代になりました。広報・PR活動もデジタルを活用し、市場環境や自社の動きをデータで可視化しながら、広報の戦略や戦術の精度を高めることが求められるようになってきています。また、2020年から続くコロナ禍の影響も見逃せません。在宅勤務が多くの企業で定着した一方で、広報活動のプロセスが見えづらくなり、目に見える結果を示さないと広報部門も社内からの評価を得られなくなってきています。「広報・PRは何に貢献しているのか」をより一層厳しく評価されるようになり、さらに、広報・PR活動の成果はもちろん、戦略の根拠についても説明する必要性が高まってきています。

さらに、メディア環境にも変化があり、インターネットやアプリ、SNSといったデジタル媒体のメディアが成長し、影響力を高めている中で、従来の「記事の掲載件数」や「広告換算費」の指標だけでは成果を把握することが難しくなっています。


「経営に貢献する広報」の前提となるもの

このように市場の変化により「広報・PRの経営への貢献を可視化する」必要性が高まっていますが、そもそも経営に貢献する広報とは一体どのようなものなのでしょうか。

その一つの例が下記の図に表しました。


これは売上と掲載によるリーチ数の相関分析をグラフ化した図です。時系列で広報・PR活動の結果として情報番組での露出と、その露出によって実際にどれくらいの売上への貢献があったのかが可視化されています。このような分析やレポーティングにより、売上貢献等の経営への貢献度の高い広報活動を明確化し、再現性を高めたり、活動の改善が出来たとき、経営に貢献する広報が実現します。

また、経営に貢献する広報の実現のためには、前提として「経営の目的」に沿った一貫性のある広報活動が必須です。まずは中期経営計画や経営課題をベースに、経営課題・目標に基づく目指すべき将来のイメージ・評判を定め、そのために広報に何ができるのか、広報・PR活動の目的まで落とし込んで行く流れによって、経営の目的に沿う広報活動の方向性を定めることができます。



広報・PRの効果測定における3種類の指標

経営の目的を元に、広報・PR活動の目指すべき方向性が定まったら、次は指標を用いて広報・PR活動のKPIの設定を行います。このKPI設定には3種類の指標で考える手法を提唱しています。

それが「アクション指標」、「アウトプット指標」、「アウトカム指標」です。


3種類の指標は、それぞれ以下のような意味を持つ指標です。

  • 自社の露出の増加のために行った活動量を示す「アクション指標」
  • 発生した露出の波及量を示す「アウトプット指標」
  • 広報活動の結果が及ぼす経営への影響を示す「アウトカム指標」


行っている広報・PR活動と結果について、上記の3種類の指標に分類します。そして、それぞれの指標に対し目標設定と結果の計測を行い、評価を継続的に行います。ここでの注意点は、現在行っている広報・PR活動やKPIのうち、経営の目的に沿わないものは思い切って除外することです。こうすることでリソースを経営の目的に沿う広報・PR活動に集中でき、また、新たな広報施策の追加が可能になり経営への貢献を高めることにつながります。


経営の目的に沿った指標で効果測定、レポーティングを行う

次に、設定したKPIの効果測定のデータを元にレポーティングを行います。

ここでも「経営の目的に沿った」重点的な分析項目を決定することが重要です。経営からもとめられている「知りたいポイント」や、広報組織での課題に応じて分析の観点を決めて、レポート内容を整理しましょう。


そして、それぞれの知りたいポイントに関連する「分析の観点」のパターンに記載の指標(図4を参照)を元にフォーマットに落とし込みます。例として、「アクション指標×アウトプット指標」の分析レポートについて解説します。


こちらは広報・PRのアクションにおける内容や工夫が、アウトプットに作用したのかを可視化することができます。

上記の参考のレポートでは、各担当者が行った広報活動(アクション)について、それぞれ掲載数や、リーチ数等のアウトプットにつながったかを可視化しています。こうすることで各PR施策が定量的にどれだけの貢献効果を及ぼしているのかを可視化することができ、経営も評価することが容易になります。

続いてご紹介する分析の軸が、近年重要性が高まっている競合とのアウトプットの比較の分析です。ここでは、競合と比べ、どの程度の記事の量が取れているのか、また競合の記事で注意すべきポイントはどこかといった視点が考えられます。
これらを経営へのレポートとして可視化したものが下記の図です。


これはシェアオブボイスと呼ばれる分析で、自社と競合の掲載量についてどれくらいのシェアの配分になっているのかを可視化することができます。ある空調機器メーカーでは、コロナ禍に伴い「空調換気」という切り口を強化し、取り組んでいましたが、掲載状況を競合と比較したところ実は競合が2倍以上の掲載があったこの分析によって初めて判明したケースもあります。

最後に紹介するのが、広報・PR活動による掲載が、経営や事業にどう貢献したかを測る、「アウトプット×アウトカム」の分析レポートです。


本記事の冒頭でも紹介した上記の例では、掲載や番組露出によるリーチ数と、POSデータによる売上データの相関分析をレポートにまとめている。リーチ数は少なくても、売上への影響が大きい露出等が可視化され、経営への貢献度の高い広報活動を見出したり、掲載価値の高い重点媒体を可視化し、広報活動の改善と事業成長への貢献を高めることが可能になります。

ぜひ本記事でご紹介してきたレポーティング手法を参考に、会社や経営層から求められている指標に落とし込んだ上で、自社の広報の貢献効果の可視化や、事業成長に活用いただければ幸いです。

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