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2022年04月29日
PRノウハウ

広報・PRの競合分析を自社の広報活動の改善に活かす

広報・PR活動において、「競合分析」を実施していますか?どうしても日々の目の前の業務に意識が向いてしまいがちですが、競合分析は、広報・PR活動にとって重要な業務のひとつです。競合分析を実施するメリットは、自社の課題や改善すべき事柄にいち早く気づき、新たな施策や次の打ち手を発想する時間を短縮できること。結果として、改善サイクルをスピーディーに回すことができるようになります。そこで今回は、広報・PRご担当者様が知っておきたい競合分析の価値や、競合分析を自社の活動に活かす方法を解説します。

広報・PRの競合分析をおこなうメリット

競合分析は、自社の広報・PR活動の生産性を高める近道です。自社の広報・PR活動に活かせるメリットがたくさんありますので、ぜひ実施すべきだといえます。
競合分析によるメリットは、大きく5点あります。

広報・PRの競合分析をおこなう5つのメリット

(1)広報・PR活動で注力すべき、ターゲット媒体や記者が見えてくる
(2)競合の記事や露出の内容から、実際に掲載につながっている切り口や訴求を参考にできる
(3)市場におけるポジショニングが把握でき、自社の強み・弱みが見える
(4)競合のデータを見ることで、市場の時流やトレンドの把握に役立つ
(5)広報・PR活動に新たな視点が生まれ、多角的な視点から活動の目標設定ができる

以上のように競合分析には多くのメリットがありますが、中でも大きなメリットは、実際に記事掲載や番組への露出がどのように取り上げられ、生活者に波及しているかを知ることができる点です。

すでに競合の掲載実績があるメディアであれば、同じ業界の自社も掲載される可能性があるということ。掲載されそうなメディアを、ゼロから探していく手間を省くことができます。また、記事の内容や論調などの編集傾向や、書いている記者は誰かなど、すでに掲載された記事には参考になる情報が豊富に含まれており、自社のアプローチを考える際にも役立ちます。

とはいえ、競合分析の実施に課題を抱える広報・PRご担当者様が多いのも事実。
「競合分析をしたくても、どこを競合に設定すればいいかわからない」「競合分析はしているが、自社の広報・PR活動に活かせていない」「自社のクリッピングや掲載確認、分析に手一杯で、競合分析をする時間やリソースが足りない」など、お悩みはさまざまです。

では、競合分析に関するこれらのお悩みは、どのように解決したら良いのでしょうか?
広報・PR活動における具体的な競合分析の手法や、競合データの活用方法を解説します。

広報・PR活動の競合分析でベンチマークする企業の選び方

広報・PR活動の競合分析において、「競合先をどこに設定するか」を考えてみましょう。
設定する基準はいくつかあります。

競合として分析対象とすべき企業の例

  • 同じ市場のなかで、売り上げ規模が同じくらいの企業
  • 提案の際、比較検討によく挙げられる商品やサービス
  • 広報・PR活動に注力していて、パブリシティやブランド戦略がうまくいっている企業


競合分析の狙いは、「自社と似たようなポジションの企業」や「うまくいっている企業」のPR訴求や切り口を学ぶこと。また、1社だけでも得るものはありますが、何社かの競合データを比較検討するとより深い分析をおこなうことができ、自社のPR戦略の改善に役立ちます。

ただし、注意したいことが1点あります。

競合分析のベンチマーク選びにおいては、事業フェーズを意識することが大切です。たとえば自社の広報・PR活動が立ち上げ段階なのに、成熟段階にある企業や商品・サービスを参考にしても、なかなか自社に活かせる考察は導き出せないでしょう。
これから広報・PR活動をおこなう自社の商品・サービスがどのようなフェーズにあるのかを見極めたうえで、分析対象とする競合を選択することが重要です。

広報・PR活動の競合分析で他社と比較するポイント

広報・PR活動の競合分析においては、以下の2つの観点から指標を分析しましょう。

  • 「量」の指標…掲載数・リーチ数、広告換算費、シェアオブボイスなど
  • 「質」の指標…SNS波及数、テーマ・メッセージの種類、露出メディアの種類など


掲載数や、広告換算費といった「量」の指標を見るのはもちろん大事ですが、競合の情報からより良い施策や自社に活かす示唆を得るためには、「質」の指標で比較することが重要なポイントです。

たとえばSNSにおける「質」の指標を考えてみましょう。メディアに掲載された記事がFacebookやTwitterでどれくらい生活者に広がったのか、どんな反応だったのか、記事の訴求の切り口は何かなど、自社の広報・PR活動の参考になる要素がたくさん含まれています。

さらに、記事や番組露出のテーマや論調をさらに深堀して傾向を分析すると、自社の広報・PR活動への取り入れ方、掲載や波及につなげるヒントなどが見えてきます。

また、競合比較の指標は、事業フェーズによっても異なります。

広報・PR部門が注力すべき活動は、事業フェーズごとに異なりますので、競合の分析指標もそれにあわせて変える必要があります。

競合分析のために取得するデータは、種類が多ければ良いわけではありません。
フェーズや目的に応じて指標を絞り込んだほうが効率的ですし、自社の広報・PR活動の参考にしやすくなります。
これは、自社の分析をおこなう際も同様ですので、留意しておきましょう。

「質」の指標と「量」の指標、事業フェーズにあわせた指標の分析方法については、以下の記事でも詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。

◯広報・PRの効果測定はどうおこなうべき?効果測定の課題・解決のポイントを紹介

競合分析のデータを自社の広報・PR活動に活用する

競合分析で取得した競合データは、広報・PR活動の戦略立案、アクションや振り返りなど、一連の広報・PR活動に活用することができます。
それでは、広報・PR活動に、競合分析の成果を取り入れていく方法を具体的に紹介します。

(1)「戦略立案」における活用方法

・適切な目標・KPI設定に活かす
競合分析により、「どれくらいの露出量があれば競合を上回れるのか」「どのメディアに掲載するとより多くの生活者に情報が届くのか」など、自社の目標やKPI設定の参考にできる目安がわかります。そして、実績を元にした具体的なKPI設定が可能になり、無謀な目標を設定することを未然に防げます。

・市場を把握する
競合の掲載切り口から、市場で注目される(=掲載されやすい)トピックスの傾向を掴みましょう。時流は移り変わるので、テーマごとに掲載実績の推移を見ていくことで、その時々でメディアが注目するテーマの把握につながり、参考にできます。

・自社の強み・弱みを把握する
掲載総数、重点媒体への掲載量、SNS波及数など、自社が重要視している指標ごとに競合と比較しましょう。自社の強みをどのようにアピールしていくか、弱みをどのように補強するかなどの議論に役立てられます。


(2)「具体的な活動」における活用方法

・アプローチするメディアや記者をあぶり出す
競合の掲載実績から、アプローチすべきメディアや記者など、アクションを起こすべき対象を選定しましょう。同業界について頻繁に取り上げているメディアや、記者を明確にすることでメディアリレーションを効率化することが可能です。

・切り口の検討や掲載されやすい媒体を把握する
クリッピングのデータを分析すると、いまメディアが注目しているワード、反響を得やすいメディアやメッセージなど、具体的なアクションのヒントが得られます。たとえば競合の掲載記事のタイトルを一覧して眺めると、登場回数が多いキーワード、メッセージやテーマの傾向などが見えてくるはずです。SNS波及数も把握し、どんなキーワードやメッセージが波及しやすいかなど、より深い分析につなげましょう。

(3)「振り返り」における活用方法

・掲載の推移を競合と比較することで、相違点を見つける
自社だけではなく、競合も含めて掲載量の変化を追うことで、季節性や市況に左右されず、自社の広報・PR活動を評価できます。災害や大きなイベントなど市況に影響する出来事が起きたときは、業界全体の掲載数が減るのが通常です。何もないタイミングで、自社のKPIが競合と違う動きを見せていれば、何かしら要因があるとあたりをつけて、分析や考察をおこないましょう。

・競合の状況を踏まえた、戦略・戦術のクイックな変更
掲載記事のメッセージやメディアの種類から、競合の戦術の変化をいち早く察知しましょう。対応策を早期に検討できるので、広報・PR活動の改善スピードアップにつながります。

競合分析のためのリソースや時間をどう確保するか?

競合分析を広報・PR活動に活用することで、活動のPDCAサイクルそのものがスピードアップします。しかも、競合の成功要因や失敗要因を検証したうえで、自社の広報・PR活動に反映できるので、失敗するリスクも軽減できるなど、競合分析で得られる恩恵は計り知れません。

しかし、現実的な問題として、競合分析を自社の広報・PR活動に活かすほどのリソースや時間を確保できないという企業様も少なくありません。

競合の動きを見て、常に新しい取り組みや活動を発信し続けるのは難しくても、対処すべきケースと静観するケースを見極めて、省力化することは可能です。

たとえば、競合の商品やサービスに何らかのトラブルが発生して、ネガティブな論調の記事が増えたとします。このようなときは、競合の課題を補うような自社PR活動をすることで、メディアに取り上げられやすくなることがあります。

競合の動きのなかで、インパクトのある出来事や掲載確率が高そうなタイミングが訪れたときだけでも、年間計画に沿った広報・PR活動プラスアルファの対応をおこなってみてはいかがでしょうか。自社のチャンスにつながるきっかけを逃さないためにも、継続的に競合の動きを分析し続けることをおすすめします。

「そもそも競合分析まで手が回らない」という場合には、解決方法としてツールの活用が挙げられます。
ビルコムが提供する効果測定ツール「PR Analyzer」では、競合5社までの各種データ取得が可能です。広告・PR活動の効果測定によく用いられるKPIの数値データはもちろん、掲載媒体、タイトルや記事リンク、SNS波及数、SNSに波及している競合記事の論調分析など、多様なデータを自動的に収集。複数の指標から自社と競合を比較したり、長期的なデータ変動をグラフで可視化したりできるので、分析や考察に注力していただくことができます。

記事の掲載や転載は、全記事を人力で収集しきることはほぼ不可能です。自社のクリッピングだけでも大変なのに、競合のクリッピングや分析にまで手が回らない……とお考えの広報・PRご担当者様は、ぜひ「PR Analyzer」の活用をご検討ください。

また、ビルコムでは、広報・PR 活動の競合分析に関するさまざまなセミナーや、広報・PR活動の最新情報、ノウハウをまとめたeBookも各種ご用意していますので、こちらもぜひご利用ください。


競合分析をしてみたい、競合分析の成果がうまく活用できていないなど、広報・PR活動の競合分析に関して気になることがあれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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監修者

ビルコム株式会社
代表取締役兼CEO 太田 滋

2003年にビルコム株式会社を創業。市場創造と評判形成に貢献する次世代PRを掲げ、マスメディアのみならずWebやSNSを含めた統合的なコミュニケーション戦略を手掛ける。2009年には、クチコミマーケティングの健全なる育成・啓発を支援するWOMマーケティング協議会を立ち上げ初代理事長を務めるなど、業界の発展に貢献している。